ライアットゲームズが毎年年末に開催する一大イベント「Riot Games ONE」。昨年に引き続き、今年もKアリーナ横浜でオフラインイベントが開催された。
昨年同様、『リーグ・オブ・レジェンド』と『VALORANT』の2タイトルによるイベントが開催され、ストリーマーや海外プロ選手の招待試合など豪華メンバーによる熱い対戦が繰り広げられた。
今年新たな試みとして良かったのは高校生選手がプロ選手やストリーマーのチームに挑戦する「NEXT GENERATION’S CHALLENGE presented by STAGE:0」というイベント。未来のプロ選手となる若きプレーヤーが大舞台で戦えるのは貴重な体験だし、やっぱりこういう現場を経験するというのは若いプレーヤーにとってもとても重要だよね。
そんな学生が活躍するプログラムがあったからなのか、去年に比べ親子の来場や、年配の方の来場が多く目にとまった。ある意味、ファンの幅が広がったようにも感じる客層だった。
それなら今年は去年より盛り上がったのかというと、個人的にはノーといいたい。少なくとも毎年来ているファンの中でも、今年より去年の方が良かったと思った人もいるはず。
こういうイベントは毎年変化や進化が問われるのは世の常だし、そういった部分を期待しているのがリピーターのファンでもある。今年は何がそんなに残念だったのかというのを個人的見解でまとめてみた。
とにかく冗長
今回、運営会社がテレビ朝日系列のRAGEではなく、テレビ東京や電通に変わっていた。ノウハウがなかったのか、それとも何か別の原因があったのか、とにかく無駄な時間が多いと感じた。
例えば、試合が始まるまで、インターバルで15分、演者がステージに上がってから試合がはじまるまでの紹介で10分くらい、さらにマップの選択やエージェントの選択までの間に15分みたいな感じで、「プログラムがはじまりまーす!」ってなってから、試合が始まるまでの時間がものすごく長く感じた。
ただただキャスター陣が間をつないでいる感が否めなく、会場で着席しているだけのお客さんにとっては、退屈な時間が多かったのではないだろうか。
このテンポの悪さは運営会社が変わったことが原因だったかもしれないし、機材トラブルだったのかもしれないけど、そんなことはお客さんにとっては関係のないことで、「いつ始まるんだよ!」っていうひと言に尽きるんじゃないかな。
会場にいるメリットが感じられない演出
座席が映画館のようなレイアウトになっているため、自ずと出演者と観客の距離は離れている。それは座席が遠くなれば遠くなるほど顕著になる。さらに、ゲームをするためのデスクやPCに囲まれて試合をすることになるので、選手の表情はほとんど見られない。
せっかくのお祭りイベントならば、プロレスのリングのようにステージを囲むようなレイアウトでも良かったんじゃないかなーと思う。
普段見られない選手の手元とか、表情とか、歓声とかそういったのを感じ取れるのがオフライン会場の魅力じゃない? そういった演出が少なかったのがかなり残念にも感じた。
会場の方が分かりにくい試合状況
これは本イベントに限ったことではないんだけど、とにかく大型モニターの使い方が雑。今回ステージには試合の映像を映すための大型モニターが横並びに3台配置されていた。3台もあるにも関わらず、試合中はすべての画面が同じ映像。しかもゲーム画面をそのまま映しているだけのシンプルな映像のみ。
ゲームの大会って、家のパソコンとかスマホとかで見る分には洗練されているかもしれないけど、Kアリーナ横浜みたいなオフラインの会場だと情報が足りなすぎるんだよね。特に、どっちが優勢なのか、どっちがどれだけラウンドを取得しているのかといった誰もが分かるような優劣が分かりにくい。
例えば、左右の画面にはラウンド取得数やチーム名を常に表示したり、ミニマップを拡大表示したり、なんなら選手の表情の映像を映し出すなど、現場ならではの演出があってもいいんじゃないかと思った。3台のモニターのうち、左右のモニターは中央のモニターに比べるとサイズが小さいため、遠くにいるお客さんは必然的に大きなモニターを見ることになるだろうし、近くのお客さんも中央のモニターの方が見やすいだろう。
そうなると、左右のモニターで同じ映像映す意味って何? ってことになる。現に、会場に来ながらも試合は手持ちのスマホで見ているといったお客さんもチラホラ見て取れた。
こんな感じで、UIを少し工夫するだけで、会場にいるお客さんが遅れて試合を見たとしても、すぐさま状況が分かるようにするだけで、会場に来たメリットってあると思うんだよね。せっかく、2タイトルのイベントを同日でやっているんだから、片方のタイトルしか知らない人や、どっちもよく分からないけど楽しそうだから見に来てみたとか、付き添いで来てみたみたいなお客さんも楽しめるような環境作りがあってもいいんじゃないかと思った。
さらに、ゲーム画面では左側がAチーム、右側がBチームの表記になっているのに、ステージの座席は左側がBチーム、右側がAチームになっている試合もあった。何も知らない人からすれば、誰が誰だかまったく分からない状況になっていて、初見だともはや誰と誰が戦っているのかも把握できない。
あとはステージ外の通路や飲食スペースなどに試合の状況を映し出すモニターがあってもいいんじゃないかなとも思った。せっかくコラボメニューとか飲食が楽しめるスペースがあったのに、その間イベントが見られないのは残念でしょ。座席にいないところでもスマホを見ずに試合が見られる環境は必要なんじゃないかな。
まあとにかく会場にいるメリットがあまり得られなかったのは残念だよね。もちろん、会場の雰囲気だったり歓声だったりっていうオフラインならではの魅力はあるけど、もうちょっとひと工夫がほしかったかな。
つい先日、仕事関係のお誘いでバスケットボールの試合を見にいったんだけど、初見なのにめちゃくちゃ楽しかった。正直、出場選手なんてホーキンソンくらいしか知らないし、ほかの選手は名前すら知らないという、にわかにもほど遠いくらいの知識で見にいったんだけど、どんな選手が出場しているのかとか、会場はどんなレイアウトになっているのかがわかるパンフレットが配られていたので、初見でも十分楽しめる内容だった。
もちろん「Riot Games ONE」に来るようなお客さんは玄人であるのが大前提というのであればこの限りではないけれど、やっぱり複数タイトルを扱うイベントならば、知らない勢に向けたアプローチは手厚くしてほしいよね。
選手にとってはデメリットでしかないプログラム
個人的に「PRO INVITATIONAL」はルールを変えるべきだと思う。「PRO INVITATIONAL」はその名の通り、プロチーム同士が戦う『VALORANT』のプログラムで、日本代表の2チームと、招待された海外のチーム2チームで総当たり戦を行うというもの。
確かに、ファンにとってはオフシーズンでもプロの試合が楽しめるうれしいイベントなんだけど、ロスターもコンディションもオフシーズン仕様になっている上、Bo1という半ば運ゲーみたいな試合数、そして負ければ叩かれるといった選手にとってマイナスでしかないのはどうかと思う。
実際、このイベントに出て壊れた選手を私は知っているし、とにかくプログラム的にはお祭り的な試合でも、この試合のスタッツで烙印を押されるのも事実。SNSという生の声がダイレクトに拡散される今の時代には、選手にとってメンタル的にきついものもあるんじゃないかと。
この試合に勝ったからって膨大な賞金がもらえるわけでもなく、名誉が得られるわけではないけど、負けたら批判でフルボッコというハイリスクノーリターンなんだよね。
だったら、もう夢のドリームチームでBo5をするみたいなプログラムにすればとも思う。招待された選手全員が、その場でふたつのチームに分かれるくじ引きをして、その場限りの即興でどれだけ戦えるかみたいな。
日本ドリームチームvs海外ドリームチームとかでも十分楽しめると思うし、選手も選手で新鮮だけどプレッシャーを感じず楽しめるみたいな感じになるんじゃないかなー。
「Red Bull Home Ground」みたいに競技シーンよりなオフシーズンイベントならガチ感も出てくるけど、試合のフォーマットが異なるイベントならば、観客にも分かるような差異を強調しても良かったかもしれない。
詰め込みすぎスケジュール
イベントが長丁場なのは賛否が分かれるところだと思う。1日で多くのイベントが楽しめるのは「おいしい」と思える人もいえば「長すぎる」と感じる人もいるんじゃないかな。私は「長すぎる」と感じた派。
というのも、先述したとおりテンポが悪いイベントだったため、基本的に時間が押していた。各プログラムごとにアクシデントを想定したバッファを保っていれば時間通りにプログラムが動いたかもしれないけど、やはり半日以上のイベントを1日で詰め込むのは無理があるんじゃないかなーと感じた。
まあこれは、集客の問題もあるから難しいかもしれないけどDay1は『リーグ・オブ・レジェンド』、Day2は『VALORANT』みたいにタイトルごとに分けてもいいだろうし、もう少し余裕を持ったプログラムで動いていた方がファンにとってもスケジュールを組みやすかったんじゃないかなと。
イベントを詰め込みすぎて時間通りにプログラムが進まないことで、常に余裕がない感じになっちゃって大変だったんじゃないかなと。
ステージに上がれなかったメディア陣
これはメディアとしての感想なんだけど、昨年はインターバル中、メディアがステージの上で撮影することが許可されていた。機材セッティング中という制限はあったものの、少しでもメディアごとの色を出したり、思わぬ表情が撮影できたりするチャンスでもあった。
今年はそういった撮影はNG。かなり離れた位置からでないと撮影することができなかった。
ネットでは「会場に行くメリットないから家で見る」みたいな人も見かけたので、もう少し会場ならではのうまみが得られるプログラムだったらよかったなーと個人的に感じるイベントだった。
昨年よりも協賛ブースが縮小されていたり、外の飲食ブースが殺風景になっていたりと、去年と比較してしまうと残念なところが目立ってしまったのが残念でならない。
来年はより進化を遂げた「Riot Games ONE 2025」に期待したい!