【レビュー】Elgato Wave Mic Arm Pro—— マイクアームの決定版がガススプリング式になって正統進化!

ゲーム配信に特化したデバイスを多数発売しているElgatoから、最新のマイクアーム「Wave Mic Arm Pro」が発売中。こちらの製品は現行モデルの「Wave Mic Arm LP」の進化版ともいえるモデルで、何もかもが正統進化しているのが特徴だ。

「Wave Mic Arm LP」も使い勝手が非常にいいマイクアームだが、使っていくうちに欲張りになってしまう。「こうだったらいいのにな〜」とか「ここはこういうふうにしてほしいなぁ」とか——。

そんな、だったらいいのにな〜をつぶさに解決してくれているのが「Wave Mic Arm Pro」。見た目は同じだけど、性能は段違いの「Wave Mic Arm Pro」を「Wave Mic Arm LP」と比較しながらレビューしていこう。

高級感あふれるフルメタル仕様

まずは外観から。全体的にメタル使用になっているため重厚感があるのが特徴だ。

▲本体と高さを調整する追加ライザー、可動域を調整する六角レンチに1/4〜3/8、1/4〜5/8にネジ穴を変換するアダプターが付属している

取り付けも非常に簡単で、60mmまでの厚さに対応したクランプで土台を固定したら、本体を穴にはめ込んでいくだけ。買ってすぐセットアップできるのもうれしいポイントだ。

注目すべきはマウント部分。「Wave Mic Arm LP」と比べてもかなり強固な仕様になっていて、マイクの取り付けやすさ、固定のしやすさが格段にアップしている。

▲手前が「Wave Mic Arm Pro」で奥が「Wave Mic Arm LP」のマウント部分。固定するハンドルやボール部分の形状が変化。よりしっかり固定できるようになった

Elgatoのマウント部分は基本的に写真奥の「Wave Mic Arm LP」と同じ形状のマウントが多く使われている。こちらの欠点はなんといっても締め付けの難しさ。ハンドルが小さい上に堅いので、なかなか狙った場所に固定するのが困難だった。一方「Wave Mic Arm Pro」はハンドルが回しやすい形状になっていて、狙ったところにグッと締め付けるのが楽になっている。緩めるのも簡単なので微調整しやすくなったのは大きい。

ケーブルカバーが下部に配置されマグネットが強化

「Wave Mic Arm」シリーズの魅力のひとつが配線を綺麗に見せることができるケーブルカバーだ。「Wave Mic Arm LP」がアームの上部にあったのに対し、「Wave Mic Arm Pro」はアームの下部に移動している。

▲「Wave Mic Arm LP」と比較しても見た目はほとんど変わらない。カバー部分が逆さまになっているだけだ
▲左が「Wave Mic Arm LP」、右が「Wave Mic Arm Pro」サイズ感はほぼ同じだが、土台となるクランプ部分の高さが微妙に違う。「Wave Mic Arm Pro」の方が5mmほど低い
▲付属の追加ライザーを取り付けることで高さを調節できる。追加ライザーを取り付けると高さは85mmほどまで高くなる。標準は50mm

上の写真は「Wave Mic Arm LP」のカバー部分。こんな感じでケーブルをアーム部分に這(は)わせてマグネット式のカバーをかぶせるというのがケーブルカバーの機構だ。

「Wave Mic Arm LP」のようにケーブルカバーが上部にあるメリットは配線のしやすさ。一方で、若干ケーブルが見えてしまったり、マグネットの磁力が弱くカバー部分が外れやすいというデメリットもあった。

▲「Wave Mic Arm Pro」のように下部にケーブルカバーがあると、見た目は非常にスッキリする

ケーブルカバーが下部に配置されたことで、マグネットの磁力は超強力に。初見だと、この部分が外せるという気がしないほどがっちりホールドになっていた。「Wave Mic Arm LP」では思わぬタイミングでカバーが外れて落下してしまい、机に傷が付いてしまうこともあったので、このマイナーチェンジは非常にありがたい。

好きな高さにピタッと固定!——ガススプリング式の恩恵はデカイ!

さあ、いよいよ「Wave Mic Arm Pro」の真骨頂ガススプリング式によるサスペンション機能を解説しよう。マイクの高さは、その時の姿勢や状況に応じて微妙に調節したいもの。「Wave Mic Arm LP」でも高さの調整はできるのだが、マウント部分同様に堅いハンドルを動かして可動域を緩め、お好みの高さに調整したのち、再びハンドルで固定する必要があった。

お世辞にも気楽にできるとは言いがたいため、結局はいつも使うポジションで固定したまま使うことになってしまっていた。「Wave Mic Arm Pro」では、その可動域の部分にガススプリング式のサスペンションを導入。軽く力を加えるだけでお好みの高さに調整できるように。

▲こんな位置でもピタッと止まるし、こんな位置でもピタッと止まる!

しかも耐荷重が「Wave Mic Arm LP」が2kgだったのに対し3kg(公表値)まで対応。より重めのマイクなどが取り付けられるようになった。なお、ガススプリング部分は付属の六角レンチで強度を調整可能。取り付けたマイクが軽くサスペンションが勝手に上がってしまう場合は強度を緩め、またその逆の場合は強度を上げればいい。

▲一般的なガススプリング式のモニターアームと同じ構造。六角レンチを可動部分に差し込み、強度を調整しよう。時計回りで緩み、反時計回りで締め付ける。締め付ければ重さに耐えられるようになる
▲関節部分を固定したい場合は、ひとつめの関節の先にある穴に六角レンチ入れて締め付ければOK

上下の可動に加え左右の可動域も非常に広いため、自分好みのレイアウトが構築しやすいのが「Wave Mic Arm Pro」の魅力といっていいだろう。

自由なレイアウトを楽しもう

「Wave Mic Arm Pro」のレイアウトは自由自在。モニターの下側からアームを伸ばせば正面から音声をとらえやすくなり、また側面からアームを伸ばせばより高い位置からマイクをレイアウトすることができる。

▲オーソドックスなレイアウト例。キーボードが干渉しない高さからマイクを近づけることができる。ゲーム配信というよりオンライン会議やトーク配信などにおすすめ
▲こんな感じで上からマイクをレイアウトするのもアリ。手元を映したいときやコントローラーを机に置きながらゲームをしたい時におすすめ

何も取り付けるのもはマイクだけとは限らない。1/4ネジや3/8、5/8ネジなどに対応したアクセサリーなら取り付けることができる。一般的な三脚に取り付けられるものなら取り付けられると思ってもらってOK。例えばタブレットブラケットを装着してiPad Proを取り付けることも可能。

▲個人的にこういったサブモニター的にiPadを使うのがお好み。「Mic Arm LP」でも実現可能だが、気軽に昇降できるのはポイント高し

気軽に昇降できるが、iPad部分の角度はサスペンションとは別に調整しなければならないので、マウント部分を少し緩めて使うといいかも。緩みすぎて急に落下してくることもあるので、ご利用は計画的に。

また、ウェブカメラを取り付ければフレキシブルな撮影が可能になる。オンラインミーティングでは表情を映すために正面を映したり、アームの高さを変えれば俯瞰撮影も可能だ。マイクだけでなくさまざまなデバイスを取り付けられるので、アイデア次第で使い方は無限大。

まとめ

マイクアームの決定版という感じの仕上がりになっているが、その分値段は高め。ガススプリング式ではないが「Mic Arm LP」ならば半額の価格で購入できる。しかし、ガススプリング式のサスペンションに、ケーブルカバーのアップデートなど、「Wave Mic Arm Pro」ならではの恩恵は非常に大きいと思う。

ちょっとした高さの調整や角度が気軽に変えられることがこんなにも便利なのかーという感じ。ちなみにElgatoからはサスペンションを搭載した「Wave Mic Arm」というアームも発売されている。こちらは、上からマイクをレイアウトするのに適したモデルになっているので、用途に合わせてモデルを選ぶといいだろう。

▲上からのレイアウトに特化させたいなら「Wave Mic Arm」がおすすめ。モニターの上からマイクをレイアウトできる

一方で、1関節あたり32cm程度の長さがあるため可動域は広め。デスクに物が散らばっていると思いのほか干渉してしまうので、環境によってはレイアウトに悩まされることも。幸い、1関節のみでも設置できるので、大きく動かさないのであれば、1関節環境でレイアウトをするのもアリ。

▲1関節ににしてフォングリップを取り付けてiPhoneを付けてみる。普段はYouTubeを見つつ、オンラインミーティングでは高さを調整してEpocCamでiPhoneをウェブカメラ化に——なんて使い方もできそう

「Wave:3」や「Wave DX」なら手元でマイクの角度を微調整できるので「Wave Mic Arm Pro」との相性はバッチリ。行き着いた結果、「Wave Mic Arm Pro」+「Wave DX」+「Stream Deck+」+「XLR Dock」の組み合わせが神だということに気づく。いやはや神ですわこれ!

このように高さを頻繁に変えて運用するならば「Wave Mic Arm Pro」一択。逆に高さはほぼ固定で使うけど、取り回しのいいマイクアームが欲しいというならば「Wave Mic Arm LP」。マイクはモニターの上から吊るしたいならば「Wave Mic Arm」というふうに、自分に合ったアームを見つけよう。

ちなみに「Wave Mic Arm Pro」や「Wave Mic Arm LP」にはホワイトモデルもあるので、デスクまわりを白で統一している人にもおすすめ。