【レビュー】美しすぎるPCケース「Corsair FRAME 4500X」——曲面ガラス採用でめちゃくちゃ組みやすい!

自作PCにおいて、もっとも重要なものは何かというのは永遠のテーマ。性能か価格かそれとも見た目か——。その中でも見た目を大きく左右するのがPCケースだ。かつては自作PCといえば無骨でダサいケースが定番だったが、いつしかおしゃれなケースが増え、サイドパネルで中身が見えるなんていうのも当たり前になってきた。

そんな美しさの最先端を行くPCケース「FRAME 4500X」シリーズがCorsair(こるせあ)から発売。最大の特徴は一枚板の曲面強化ガラスのパノラミックガラスサイドパネル。フロントからサイドまでつなぎ目のないパネルは、圧倒的存在感だ。

▲つなぎ目のないパノラミックガラスサイドパネルは、フロントからサイドパネルまでが一面ガラス張り。PC内部を美しく映し出してくれる

さらに見た目だけではなく、組みやすさも両立しているのも特徴のひとつ。自作PCを作ってみたいと思っている人や、ちょっとおしゃれなPCケースに換装したい人におすすめの本製品の特徴を解説していこう。

なお、「FRAME 4500X」シリーズは、CorsairのPC管理ソフト「iCUE」対応モデルの「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」と、非対応の「FRAME 4500X RS-R ARGB」の2種類がある。主な違いは搭載されているファンの種類のみ。今回はフラッグシップモデルの「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」でレビューを進めていこう。

メリット
  • 曲面強化ガラスが美しい
  • 広々空間で組みやすさ抜群
  • 親切設計の付属パーツ
  • アクセスしやすいフロント入力ポート
  • Corsair製パーツとの親和性バッチリ
  • 最大10基のファン搭載可能
  • 選べるファンサイズ
  • iCUE LINK システムハブ内蔵
  • 大型CPU対応+縦置き可
  • ネジ収納ケース付き!
デメリット
  • ストレージの拡張性がほぼない
  • 標準搭載のファンが少ない
  • 価格帯は高め
もくじ

かゆいところに手が届く内部をチェック

まずは「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」の外観をチェックしていこう。PCケースなので基本的に内容物はケースと組み立てパーツだけだ。

▲外箱を開けると、パーツなどが収納された小箱が入っている
▲パノラミックガラスサイドパネルはしっかりとフィルムで カバーされている。外し方はフィルムにも記載されている

自作PCでも特にガラスパネル採用や、おしゃれなケースでまず不安になるのが、パネルなどの外し方だ。マニュアルを見てもよく分からなかったり、そもそも力加減が分からなかったり——。新しいケースを傷つけたくないけど、組み立てるには一度バラさないといけないので、最初の儀式でありながら最難関な儀式でもあるのだ。

まずはパノラミックガラスサイドパネルから外していこう。ちなみに、PCケースを取り扱う際は指紋や皮脂が付くのを防ぐためにも手袋をしておくといいだろう。筆者は滑り止めの付いたニトリル手袋を使っているが、薄手の軍手など動きやすいものを選ぶといい。また、パネルの外し方はオンラインマニュアルに記載されている。こちらも併せて確認しつつ、力の入れ具合は本記事で確認してほしい。

オンラインマニュアル:
https://www.corsair.com/jp/ja/explorer/diy-builder/cases/frame-4500x-mid-tower-case/?utm_source=qr_code&utm_medium=referral&utm_campaign=quick_start_guide&utm_term=frame-4500x-mid-tower-case&utm_content=corsair#p-data-block-keyozns0p

▲パノラミックガラスサイドパネルの端にCorsairの文字が書かれたゴムパッドを使って取り外す
▲ここを力強く真横に押す。最初は結構力がいるので、片方の手でガラス部分を押さえつつ、親指を使ってグッと押し出す感じで力を入れよう
▲パノラミックガラスサイドパネルの上部。こんな感じで突起のツメが本体に刺さって固定されている。これを外すイメージでゴムパッド部分をスライドさせよう

パノラミックガラスサイドパネルはツメで固定されて、ゴムパッドを使ってツメを外す仕組みになっている。ツメが外れたあとは横にスライドさせて真上に持ち上げれば取り外せる。

▲こんな感じで斜めに倒せるようになったら真上に持ち上げよう。下側のくぼみで固定されているので、一気に倒れることはないので安心だ

次にスチール製のサイドパネルを外していく。こちらは裏面に突起が出ているので、そこを持ちながらツメを外そう。

▲この突起を持ちながら左側にガバッと外す。本体を押さえながら外そう

さらに格子状のサイドパネルは下側からガバッとツメを外す。こちらも初回時は固めで、ちょっと不安になるかも知れないが、ゆっくり力を入れて丁寧に取り外そう。

▲パネル下部からツメを外す場合、パネルの中央だと力が入りづらいので右端や左端から指を入れて外してみよう
▲格子状のサイドパネルはこんな感じのツメで固定されている

上部パネルは背面にあるふたつのネジを緩めればスライドして取り外せる。ただし、パノラミックガラスサイドパネル、サイドパネル、スチールサイドパネルすべてを外してからでないと取り外せないので気をつけよう。

▲上部のパネルは背面にあるふたつのネジ。黄色のアクセントがおしゃれ

すべてのパネルを取り外すと、内部のアクセスが容易になる。広々スペースなのはうれしいポイント。

▲前面はこんな感じ。最長460mmのGPUが取り付けられる広々スペースだ
▲裏面はこんな感じ。電源ユニットは下部に収納されるタイプで、きれいに配線がまとまっている。また面ファスナー結束バンドで束ねられるので背面のケーブルにもこだわる人にも安心だ
▲「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」は「CORSAIR iCUE LINK LX120-R RGB」が3基搭載されている。ケーブルレスで直結されているので、配線がスマートだ

個人的にお気に入りポイントはケースフロント部分にあるI/O(入力ポート)。USB Type-AとUSB Type-C、3.5mmジャックが搭載されている。

▲いやー、これほしかったんだよねー。新しいガジェットとかちょっと接続したい時に、前面にUSBコネクターがあるのは本当にうれしい!

せっかくなので、注目ポイントを紹介しつつ各パーツを実際に取り付けてみよう。

自作PC組み立ての準備

PCケースを組み立てる際、机の上にマット敷いておくと安全。PCパーツは堅くて頑丈なので、何かの拍子で落としてまうと簡単に天板が傷ついてしまう。柔らかい素材のマットを敷いて天板を守ろう。

▲筆者は100均とかで売ってるヨガマットを敷いてる。滑り止め加工もしてあるので使いやすい

また、ネジをなくさないためのケースがあると便利。その点「FRAME 4500X」シリーズは、そういった自作ユーザーにうれしい小物ケースまで付属しているのだ。

▲付属のネジや結束バンドが収納されているケース。仕切りは取り外し可能で任意のサイズに変えられる。これだけで単体発売してもらいたいくらい便利だ

マザーボード取り付け

まずはマザーボードの取り付けから。「FRAME 4500X」シリーズはマザーボードを取り付けるトレーが取り外せる。通常ならばマザーボードはケースに直付けするのだが、トレーを取り外すことで配線しやすい設計になっている。

▲こんな感じでトレーが取り外せる。マザーボードを取り付ける際は、ネジ穴がシビアな場所にあるので、地味にストレスがかかる作業。こうやってトレーが取り外せることで、そういったストレスから解放される
▲トレーは裏面の4箇所のネジで固定されている。また後述する「GPU 垂れ防止安定化アーム」を事前に取り外しておく必要があるので、一番左側の2箇所のネジを緩めて外しておこう
▲右側のネジはこんな感じでドライバーを穴に通せばアクセスできる
▲マザーボードの取り付けは付属の6mmネジを使う
▲トレーの上にマザーボードを乗せるとネジ穴がピタリと合う場所にはまる。固定する場所はマザーボードによって異なるが、ズレないように余さず固定していこう

個人的にやっかいだと思っているのが、マザーボード上部にある12V電源コネクターの接続だ。電源ゲーブルは比較的堅く、またケースにマザーボードを取り付けたあとだと、かなり接続がしづらいので、トレーを本体に取り付ける前にケーブルを接続しておこう。

▲個人的にこの電源ゲーブルの接続が一番苦手。これは先に取り付けておきたい
▲先に取り付けておけば、あとから苦戦することはない。最近の電源はプラグイン方式(着脱式)のものが主流なので、この順番で取り付けるのが得策

とはいえトレーを外さなくても、先に電源ケーブルを取り付けてからマザーボードをPCケースに取り付けるのとあまり手間は変わらないので、トレーを外す外さないはお好みで。トレーを外すということは、トレーを取り付けるという工程がひとつ増えることになるので、そういうのが煩わしい人は無理に外す必要はない。

▲トレーを取り付ける際は、先に電源ケーブルを裏側に通してから、トレーの上側からくぼみに合わせていく。割とこの取り付けが難しかったので、よくよく考えたらトレーは外さなくてもいいかもなんて思った

電源ユニット取り付けからケーブルの取り回しなど

続けて電源ユニットを取り付けていく。電源はケース下部に収納して裏面からネジ止めすれば固定できる。この辺は一般的なPCケースと同じだ。

▲あらかじめ必要なケーブルを電源に付けておき、ケースに固定するだけ。難しいことはない

またCorsair製「RMx Shift」シリーズの電源ユニットに対応しているので、そちらの電源なら、より配線が楽になる仕組みになっている。「RMx Shift」シリーズはモジュラーコネクターが側面に付いている電源ユニットで、ケーブルの取り回しがしやすい特徴がある。

▲側面にモジュラーコネクターがあると、電源ケーブルを追加したいときにも便利。これは今度試してみたいと思った(出典:https://www.corsair.com/jp/ja/p/psu/cp-9020275-jp/rm1000x-shift-80-plus-gold-fully-modular-atx-power-supply-white-jp-cp-9020275-jp)

また、標準搭載されているファンもトレーに取り付ける形になっていて、ネジひとつで取り外しが可能。

▲Corsairロゴの上にあるネジを外せば、ファンをまるごと取り外せる
▲ファンを取り外すと作業スペースがかなり広くなりパーツの取り付けが俄然楽になる。マザーボードやGPUに取り付けるケーブル配線がこのスペースでできるのはうれしい

ちなみに付属しているマグネットのプレート。ケースの隙間をきれいに埋めてくれるパーツなので、活用すると見た目がさらにすっきりする。

▲思わずケースの余りパーツかと思ったらケースの隙間を隠してくれる便利グッズだった。
プレートなし プレートあり

こんな感じでマザーボードの隙間に入れ込むことで見た目がスッキリ! いやいやこだわりが強い(笑)。

GPU取り付け

マザーボードを取り付けたら、GPU(ビデオカード)を取り付けよう。前述した「GPU 垂れ防止安定化アーム」があるので、昨今の巨大化したGPUを接続してもPCIスロットへのダメージが軽減できる。

▲これが「GPU 垂れ防止安定化アーム」。ネジを緩めると高さを調整することができる
▲GPUのファンに干渉しないよう、またGPU本体を傷つけないようクッション性のある素材になっているのが◎

上記の写真のようにGPUの補助電源は下にある隙間から背面に流すことができる。配線を整えておこう。

水冷クーラー取り付け

続けて追加のクーラーを取り付けていく。「FRAME 4500X」シリーズは最大10基のファンが搭載可能で、冷却性に優れたモデルだ。

▲オンラインマニュアルに掲載されているファン搭載可能な場所とサイズ

今回はトップに簡易水冷「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」を取り付けた。具体的な取り付け方は別途記事を参考にしてほしい。

▲トップ部分は120mmと140mm/160mmファンの取り付けが可能。プラスのネジを緩めることでファン取り付けレール幅を調整できるのだ。黄色いラインを取り付けるファンサイズに合わせて固定しよう

また「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」はファンを制御する「iCUE LINK システムハブ」が標準搭載されているため、今回取り付けた「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」のように「iCUE LINK システムハブ」対応モデルのファンや簡易水冷を数珠つなぎで接続可能。ケーブル一本でファンをつなげることができる。

▲「iCUE LINK システムハブ」はケース背面に取り付けられている
▲標準搭載されているファンと、「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」に搭載されているファンを「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」付属のケーブルでつなげる

簡単な接続図は下記の通り。

▲ケース内蔵ファンからポンプユニットまでが1周するようなイメージで配線するだけの簡単配線。電源への接続やマザーボードへの接続は「iCUE LINK システムハブ」が一括して管理できる

何が便利って、マザーボードにファンコネクターをあちこちに接続しなくていいということ。ファンケーブル1本をマザーボードに接続するだけですべてのファンが動作する。ファンコネクターが足りなくなる問題がなくなるのは快適すぎた。今回のセッティングだと、ファンケーブルはCPU_FAN部分に接続するだけで済んだ。ケーブルの取り回しも美しい!

最後に背面のケーブルを付属の結束バンドなどでまとめたら各パネルを取り付けて完成。

▲筆者は電源ケーブルの見栄えを良くするために延長のスリーブケーブルを利用しているので、どうしてもケーブルがごちゃつきやすい。「FRAME 4500X」シリーズは背面のスペースも広めなので、割にきれいに収納できた

まとめ

とにかく美しさが際立つ「FRAME 4500X」シリーズ。パノラミックガラスサイドパネルにばかり目が行きがちだが、格子状のサイドパネルで背面のデザインもシックでかっこいい。

▲インテリアみたいな雰囲気で、上質なデスクまわりが構築できる
▲ぬらっとした美しい曲面が所有欲を満たしてくれる。格子状のパネル部分はABS樹脂(プラスチック)っぽい素材だけど、チープに見えない

特に上位モデルの「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」と、「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」の組み合わせはファンの管理がしやすく、初心者にも扱いやすい。「iCUE ソフトウェア」でライティングも一括管理できるので、カラーを統一すると一気に上品になる。レインボーでド派手にしてもいいし、あえて暗めのライティングでシックにするのもアリ!

▲最近お気に入りのシャンパンゴールド系のライティングにすると、ちょっと大人な感じに♪

「iCUE ソフトウェア」のインストール方法や簡単な使い方は下記の記事を参考にしてほしい。

一方でストレージの拡張性が少ないのが欠点。ストレージは背面にあるコンボドライブプレートに取り付けられるが3.5インチHDDは1台、2.5インチHDD/SSDは2台しか取り付けられない。大量のデータをHDDで管理したい人には難しいところだ。

▲コンボドライブプレートは「iCUE LINK システムハブ」の取り付け場所と兼用になっているので、「iCUE LINK システムハブ」を取り付けると実質ストレージは取り付けられなくなる

「iCUE LINK システムハブ」はどこに取り付けても問題ないのだが、配線のしやすさからコンボドライブプレートに取り付けておきたいパーツなのでなかなか悩ましい。

最近はm.2スロットが複数搭載されているマザーボードも多く、またHDDは2.5GbEのNAS経由で接続すればSATAと遜色ない速度で作業できるので、ある意味システムの刷新という考え方で新環境を構築しても楽しい。

▲これを機にm.2 SSDの4TBを複数装着。普段余り使わない大容量データはNASに待避させ、2.5GbE LANケーブル経由でアクセスできるようにした。PC側の配線もスッキリしたので大満足!

また、搭載されているファンがサイドファンのみなので、実際に組み立てるならば、別途追加ファンがないと心許ない。個人的には今回のように簡易水冷と親和性が高いケースだと感じた。

ということで、「FRAME 4500X」シリーズのレビューをお届けした。一枚板の曲面ガラスによるサイドパネルは圧巻の美しさ。見た目にこだわりたい人には魅力的なケースといえる。さらに、見た目だけでなくケーブルの取り回しもやりやすく、収納スペースも広々なので、組み立てのしやすさも評価は高い。搭載できるファンも多く、冷却性もバッチリ。まさに次世代のケースとして満足度の高い仕上がりになっているのではないだろうか。個人的にCorsairのLEDはかなり発色がいいと思っているので、ライティングにこだわっている人にもおすすめしたい。

ただケース自体が裏配線に対応しているものの、いまいち裏配線対応のマザーボードが少ないのも悲しいところ。特にホワイトカラー意外で裏配線に対応したマザーボードはかなり種類が限られるので、今後に期待したいところ。特にSocket AM5のマザーボードで裏配線対応しているブラックカラーのマザーボードは現時点でないんじゃないかというくらい希少モデルなので、ぜひどこかのメーカーさんに出してもらいたい。しかもお手軽価格で(笑)。

FRAME 4500X LX-R RGB LINK
CORSAIR
FRAME 4500X RS-R ARGB
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iCUE LINK TITAN 36
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RM1000x Shift PC電源ユニット
CORSAIR
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