自作PCにおいて、もっとも重要なものは何かというのは永遠のテーマ。性能か価格かそれとも見た目か——。その中でも見た目を大きく左右するのがPCケースだ。かつては自作PCといえば無骨でダサいケースが定番だったが、いつしかおしゃれなケースが増え、サイドパネルで中身が見えるなんていうのも当たり前になってきた。
そんな美しさの最先端を行くPCケース「FRAME 4500X」シリーズがCorsair(こるせあ)から発売。最大の特徴は一枚板の曲面強化ガラスのパノラミックガラスサイドパネル。フロントからサイドまでつなぎ目のないパネルは、圧倒的存在感だ。

さらに見た目だけではなく、組みやすさも両立しているのも特徴のひとつ。自作PCを作ってみたいと思っている人や、ちょっとおしゃれなPCケースに換装したい人におすすめの本製品の特徴を解説していこう。
なお、「FRAME 4500X」シリーズは、CorsairのPC管理ソフト「iCUE」対応モデルの「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」と、非対応の「FRAME 4500X RS-R ARGB」の2種類がある。主な違いは搭載されているファンの種類のみ。今回はフラッグシップモデルの「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」でレビューを進めていこう。
- 曲面強化ガラスが美しい
- 広々空間で組みやすさ抜群
- 親切設計の付属パーツ
- アクセスしやすいフロント入力ポート
- Corsair製パーツとの親和性バッチリ
- 最大10基のファン搭載可能
- 選べるファンサイズ
- iCUE LINK システムハブ内蔵
- 大型CPU対応+縦置き可
- ネジ収納ケース付き!
- ストレージの拡張性がほぼない
- 標準搭載のファンが少ない
- 価格帯は高め
かゆいところに手が届く内部をチェック
まずは「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」の外観をチェックしていこう。PCケースなので基本的に内容物はケースと組み立てパーツだけだ。


自作PCでも特にガラスパネル採用や、おしゃれなケースでまず不安になるのが、パネルなどの外し方だ。マニュアルを見てもよく分からなかったり、そもそも力加減が分からなかったり——。新しいケースを傷つけたくないけど、組み立てるには一度バラさないといけないので、最初の儀式でありながら最難関な儀式でもあるのだ。
まずはパノラミックガラスサイドパネルから外していこう。ちなみに、PCケースを取り扱う際は指紋や皮脂が付くのを防ぐためにも手袋をしておくといいだろう。筆者は滑り止めの付いたニトリル手袋を使っているが、薄手の軍手など動きやすいものを選ぶといい。また、パネルの外し方はオンラインマニュアルに記載されている。こちらも併せて確認しつつ、力の入れ具合は本記事で確認してほしい。



パノラミックガラスサイドパネルはツメで固定されて、ゴムパッドを使ってツメを外す仕組みになっている。ツメが外れたあとは横にスライドさせて真上に持ち上げれば取り外せる。

次にスチール製のサイドパネルを外していく。こちらは裏面に突起が出ているので、そこを持ちながらツメを外そう。

さらに格子状のサイドパネルは下側からガバッとツメを外す。こちらも初回時は固めで、ちょっと不安になるかも知れないが、ゆっくり力を入れて丁寧に取り外そう。


上部パネルは背面にあるふたつのネジを緩めればスライドして取り外せる。ただし、パノラミックガラスサイドパネル、サイドパネル、スチールサイドパネルすべてを外してからでないと取り外せないので気をつけよう。

すべてのパネルを取り外すと、内部のアクセスが容易になる。広々スペースなのはうれしいポイント。



個人的にお気に入りポイントはケースフロント部分にあるI/O(入力ポート)。USB Type-AとUSB Type-C、3.5mmジャックが搭載されている。

せっかくなので、注目ポイントを紹介しつつ各パーツを実際に取り付けてみよう。
自作PC組み立ての準備
PCケースを組み立てる際、机の上にマット敷いておくと安全。PCパーツは堅くて頑丈なので、何かの拍子で落としてまうと簡単に天板が傷ついてしまう。柔らかい素材のマットを敷いて天板を守ろう。

また、ネジをなくさないためのケースがあると便利。その点「FRAME 4500X」シリーズは、そういった自作ユーザーにうれしい小物ケースまで付属しているのだ。

マザーボード取り付け
まずはマザーボードの取り付けから。「FRAME 4500X」シリーズはマザーボードを取り付けるトレーが取り外せる。通常ならばマザーボードはケースに直付けするのだが、トレーを取り外すことで配線しやすい設計になっている。





個人的にやっかいだと思っているのが、マザーボード上部にある12V電源コネクターの接続だ。電源ゲーブルは比較的堅く、またケースにマザーボードを取り付けたあとだと、かなり接続がしづらいので、トレーを本体に取り付ける前にケーブルを接続しておこう。


とはいえトレーを外さなくても、先に電源ケーブルを取り付けてからマザーボードをPCケースに取り付けるのとあまり手間は変わらないので、トレーを外す外さないはお好みで。トレーを外すということは、トレーを取り付けるという工程がひとつ増えることになるので、そういうのが煩わしい人は無理に外す必要はない。

電源ユニット取り付けからケーブルの取り回しなど
続けて電源ユニットを取り付けていく。電源はケース下部に収納して裏面からネジ止めすれば固定できる。この辺は一般的なPCケースと同じだ。

またCorsair製「RMx Shift」シリーズの電源ユニットに対応しているので、そちらの電源なら、より配線が楽になる仕組みになっている。「RMx Shift」シリーズはモジュラーコネクターが側面に付いている電源ユニットで、ケーブルの取り回しがしやすい特徴がある。

また、標準搭載されているファンもトレーに取り付ける形になっていて、ネジひとつで取り外しが可能。


ちなみに付属しているマグネットのプレート。ケースの隙間をきれいに埋めてくれるパーツなので、活用すると見た目がさらにすっきりする。

こんな感じでマザーボードの隙間に入れ込むことで見た目がスッキリ! いやいやこだわりが強い(笑)。
GPU取り付け
マザーボードを取り付けたら、GPU(ビデオカード)を取り付けよう。前述した「GPU 垂れ防止安定化アーム」があるので、昨今の巨大化したGPUを接続してもPCIスロットへのダメージが軽減できる。


上記の写真のようにGPUの補助電源は下にある隙間から背面に流すことができる。配線を整えておこう。
水冷クーラー取り付け
続けて追加のクーラーを取り付けていく。「FRAME 4500X」シリーズは最大10基のファンが搭載可能で、冷却性に優れたモデルだ。

今回はトップに簡易水冷「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」を取り付けた。具体的な取り付け方は別途記事を参考にしてほしい。


また「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」はファンを制御する「iCUE LINK システムハブ」が標準搭載されているため、今回取り付けた「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」のように「iCUE LINK システムハブ」対応モデルのファンや簡易水冷を数珠つなぎで接続可能。ケーブル一本でファンをつなげることができる。


簡単な接続図は下記の通り。

何が便利って、マザーボードにファンコネクターをあちこちに接続しなくていいということ。ファンケーブル1本をマザーボードに接続するだけですべてのファンが動作する。ファンコネクターが足りなくなる問題がなくなるのは快適すぎた。今回のセッティングだと、ファンケーブルはCPU_FAN部分に接続するだけで済んだ。ケーブルの取り回しも美しい!
最後に背面のケーブルを付属の結束バンドなどでまとめたら各パネルを取り付けて完成。

まとめ
とにかく美しさが際立つ「FRAME 4500X」シリーズ。パノラミックガラスサイドパネルにばかり目が行きがちだが、格子状のサイドパネルで背面のデザインもシックでかっこいい。


特に上位モデルの「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」と、「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」の組み合わせはファンの管理がしやすく、初心者にも扱いやすい。「iCUE ソフトウェア」でライティングも一括管理できるので、カラーを統一すると一気に上品になる。レインボーでド派手にしてもいいし、あえて暗めのライティングでシックにするのもアリ!

「iCUE ソフトウェア」のインストール方法や簡単な使い方は下記の記事を参考にしてほしい。

一方でストレージの拡張性が少ないのが欠点。ストレージは背面にあるコンボドライブプレートに取り付けられるが3.5インチHDDは1台、2.5インチHDD/SSDは2台しか取り付けられない。大量のデータをHDDで管理したい人には難しいところだ。

「iCUE LINK システムハブ」はどこに取り付けても問題ないのだが、配線のしやすさからコンボドライブプレートに取り付けておきたいパーツなのでなかなか悩ましい。
最近はm.2スロットが複数搭載されているマザーボードも多く、またHDDは2.5GbEのNAS経由で接続すればSATAと遜色ない速度で作業できるので、ある意味システムの刷新という考え方で新環境を構築しても楽しい。

また、搭載されているファンがサイドファンのみなので、実際に組み立てるならば、別途追加ファンがないと心許ない。個人的には今回のように簡易水冷と親和性が高いケースだと感じた。
ということで、「FRAME 4500X」シリーズのレビューをお届けした。一枚板の曲面ガラスによるサイドパネルは圧巻の美しさ。見た目にこだわりたい人には魅力的なケースといえる。さらに、見た目だけでなくケーブルの取り回しもやりやすく、収納スペースも広々なので、組み立てのしやすさも評価は高い。搭載できるファンも多く、冷却性もバッチリ。まさに次世代のケースとして満足度の高い仕上がりになっているのではないだろうか。個人的にCorsairのLEDはかなり発色がいいと思っているので、ライティングにこだわっている人にもおすすめしたい。
ただケース自体が裏配線に対応しているものの、いまいち裏配線対応のマザーボードが少ないのも悲しいところ。特にホワイトカラー意外で裏配線に対応したマザーボードはかなり種類が限られるので、今後に期待したいところ。特にSocket AM5のマザーボードで裏配線対応しているブラックカラーのマザーボードは現時点でないんじゃないかというくらい希少モデルなので、ぜひどこかのメーカーさんに出してもらいたい。しかもお手軽価格で(笑)。




