自作PCに明るい人なら一度なら目にしたことがあるであろう有名なコピペ。そんな妙に説得力のある自作PCコピペをご存じだろうか。
CPU・・・パソコンの頭脳に当たる部分、ここは重要
メモリ・・・当たり外れの大きな部分、ここは値段で妥協するな
マザボ・・・PCの基礎となる部分、ここは質にもこだわるべき
HDD・・・何より大事なデータが保存される部分、ここは重要
グラボ・・・ゲームや動画再生能力はここで決まる、ここは大事
電源・・・ここがダメになると他のパーツもダメになる、ここは妥協出来ない
ケース・・・一番長く使う。ここから決めるぐらいの大事なパーツ
キーボード、マウス・・・直接触れる部分、ここに金をかけると幸せになれる
モニタ・・・これがダメだとどんなPC組んでもダメ。いいものを買え
ネタでありネタでないこのコピペでも示されているように、自作PCにとってATX電源というのは非常に重要なパーツ。しかし現実には、CPUやGPUほど性能差を体感しづらいこともあり、「なんとなく」で選ばれがち。
そこで今回は、そんな電源のイメージを一段引き上げる存在——Corsair(こるせあ) のハイエンドモデル「HX1000i SHIFT」をレビューしていく。
まずは簡単にメリット・デメリットから
- Cybenetics Platinum認定という抜群の品質
- 側面コネクタによる配線のしやすさ
- 高級感あるコーム付きスリーブケーブル
- 「ネイティブ12V-2×6ケーブル」採用
- コネクタの小型化でクリアランスも◎
- iCUE LINK システムハブ内蔵で対応ファン+簡易水冷クーラーを一括管理
- iCUEで電源の動作をモニタリング可能
- Corsair製ケース、ファン、水冷との親和性◎
- 安心の10年保証曲
- 同スペックの電源としては価格帯は高め
- Corsair製パーツがないPCには魅力半減
- PCIe 6+2ピンケーブルがちょっと残念
結論からいうと、Corsair製のファンやPCケース以外のパーツで構成された自作PCにとっては、オーバースペック。例えば、簡易水冷クーラー、PCケースファン、PCケースといったパーツがCorsair製であればあるほど、大きな恩恵が得られるモデルとなっている。
一番の特徴は、ケーブルコネクタが側面に配置された革新的なデザインだ。こちらは、サイドパネルとの間に30mmのクリアランスのあるPCケースならば取付可能なので、「ケース内の裏配線のゴチャつきを何とかしたい!」って人や「あとからパーツを追加する際の電源供給をスマートにしたい!」なんて人にもおすすめだ。
こだわり抜いた側面コネクタ搭載の本体
まずは電源の本体を見ていこう。



ファンは本体底面に付いているタイプなので下から冷気を吸い上げて背面から熱を排気するという空気の流れになっている。


そして、なんといっても特徴的なのが側面に配置されたコネクタだ。実際の配線の違いは後述するが、これによりPCケース内の配線処理が非常にやりやすくなる。

さらに、「HX1000i SHIFT」の真骨頂といえるのが、iCUE LINK システムハブ内蔵という点。ケースファンや簡易水冷など、最大24個のデバイスを一括で管理できるシステムが内蔵されているのだ。

まあ、これでもかというくらい個性的な仕様になっている「HX1000i SHIFT」。いい意味で変態仕様というか、ぶっ飛んでる性能が期待を高めてくれる(笑)。
小型化したコネクタと細型のスリーブを採用したケーブル
「HX1000i SHIFT」はケーブルにもこだわりがある。配線ひとつひとつがスリーブ化されていて高級感のある仕上がりになっている。


厳密に言うとスリーブケーブルではなく、一本一本がなんともいえないしっとりした素材になっている。そのためケーブルは非常に柔らかく、取り回しがしやすいのがうれしいポイントだ。ただその細さ故に、ケーブルがバラバラになりやすく、本物のスリーブケーブルに比べると、デザイン的にちょっと頼りないのが残念。




まあ、固いけど高級感のあるスリーブケーブルと、チープだが柔らかい素材のPVCケーブルのいいとこ取り仕上げになっている。また、電源本体に取り付けるコネクタの形状は一般的なコネクタに比べてかなり小さくなっているのもうれしいポイントだ。

小さいと何が便利かって、PCを組み立てる際のケーブルの取り回しがめちゃめちゃ快適になる。

さらに最新のGeForceビデオカード(RTX 50シリーズや40シリーズ)に直接給電できる PCIe 5.1規格の「12V-2×6ケーブル」が標準で付属している。こちらもコネクタ部分が非常に小さくなっているのが特徴で、恐らく本体部分のコネクタサイズもこちらに合わせて小型化したのかなぁと。

ちなみに、これはかなりマニアックな部分なのだがCPUの補助電源の作りが非常に良かったという部分も解説したい。CPUの補助電源は基本的に8ピンの構成になっていて、4+4ピンに分割できるようになっている。これはマザーボードによって補助電源が4ピンの場合もあるからでもあるんだけど、このピンの切り離しのギミックがものすごくしっかりしている。



なんだかケーブルだけでものすごくアツく語ってしまった間は否めないが、ATX電源の進化を感じる瞬間だった。
実際に電源を換装(設置)して配線してみた
ということで、実際にケースに取り付けてみた。今回は、Corsair製のPCケース「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」に換装してみた。



実際にケーブルをつなげてみるとその取り回しのしやすさに感動する。特に本体に接続するコネクター部分が小型化しているのもあり、電源周辺はスッキリ。また、各コネクタ位置が、一般的なマザーボードに接続しやすいレイアウトになっているため、ケース裏の配線も非常に美しくなる。

ある程度配線が確定したら、付属の結束バンドで裏配線をきれいにまとめよう。また、ケーブル収納スリーブでケーブルをまとめると視覚的なノイズも消えておすすめだ。

iCUE LINK システムハブを使った配線図
今回のPC構成はPCケースが「FRAME 4500X LX-R RGB iCUE LINK」、簡易水冷クーラーに「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」を採用しているので、ファンの回転数やライティングの制御はiCUE LINK システムハブで管理していた。

今回は、「HX1000i SHIFT」に内蔵されたiCUE LINK システムハブを使った配線になるので、新たに配線を再構築した。

ちなみに上図のように、マザーボードには「HX1000i SHIFT」から付属のUSBケーブルで接続するだけでOK。電源にファンコンが付いているようなものなので、「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」のような簡易水冷を使っている場合でも、Tachケーブル使わなくても動作する。万が一、起動時にCPUファン未接続という警告が出た場合のみ、Tachケーブルを使ってマザーボードのCPU_FANと接続するか、BIOS側で監視を無効化しよう。

安定した電力共有はiCUEで監視!
ぶじにセットアップが完成したら、いよいよ起動の確認だ。「HX1000i SHIFT」の魅力のひとつは、専用アプリiCUEで動作状況を監視できるところだ。
iCUEダウンロードリンク:
https://www.corsair.com/jp/ja/s/downloads

電源入力はコンセントから取り込まれる電力、電源出力はPCパーツへ供給される電力を示す。この差分は熱として失われる変換ロスであり、差が小さいほど効率が高い。つまり、同じ出力でも入力が少ない電源ほど高効率ということになる。
電源の入力に関しては物理的に監視できる「ワットチェッカー」などがあるが、PC内部へ供給される出力や変換ロスまで含めて把握するのは難しい。一般的なモニタリングソフトでも入力と出力を同時に可視化することはできるが、ここまでグラフィカルに監視できるは珍しい。
「HX1000i SHIFT」はiCUEを通じて入力・出力・効率を一括で確認できる数少ない電源であり、電源効率を実測ベースで把握できる点が大きな強みだ。
個人的には自身のPC構成でアイドル時における消費電力の高さが可視化されたことがひとつの気づきになった。「4Kモニター使うとアイドル時でも200W前後になるのかー」って(笑)。ちなみに同じPC構成でも解像度をFHDに変えただけで、アイドル時の消費電力は130W前後と劇的に低くなることも今回の検証で分かった。
なお、「HX1000i SHIFT」はゼロRPMモードに対応している。負荷が低いときはファンの回転がなくなりほぼ無音で動作する。低負荷な作業中は静かな環境が構築できるのはうれしいポイントだ。もちろん先述したiCUEでファンの回転数をカスタマイズすることも可能だ。
iCUEの使い方については下記記事も参考にしてほしい。

まとめ
ということで、今回は「HX1000i SHIFT」をレビューしてきた。こだわりにこだわり抜いた設計によって、煩雑になりがちな裏配線がスッキリと収まるのは個人的にかなりうれしい。さらには、消費電力の可視化、対応ファンの一括制御ができるのも本製品の魅力だ。
これから暑くなる季節に向けてPCファンを増設予定なので、そういった場合もiCUE対応ファンであれば、本製品で一括制御できる。マザーボードのファンコネクタが足りないかと不安になることもなく、単純に延長ケーブルな間隔で増設できるお手軽さも◎。自作PCを組み立てたあとのアップデートも楽チンになるのはうれしい。
あえてなにかマイナス点を挙げるとするならば、「PCIe 6+2ピンケーブルがショボい」というところ(笑)。最新規格の「12V-2×6ケーブル」が付属している時点で「PCIe 6+2ピンケーブル」はおまけ程度に考えていたのかもしれない。


ちなみに今回紹介した側面にコネクタがあるタイプの「HXi Shift 2025」シリーズは、1000W、1200W、1500Wの3つのモデルがあるが、ガンガンゲームをやるのであっても1000Wで十分。基本的にGPUの性能に応じてモデルを変えるのが適切なので、購入の際は使用しているGPUの推奨W数を参考にするといいだろう。
また、電源ケーブルをさらにオシャレにする純正のスリーブケーブルも販売されている。さらにこだわり抜いた配線にしたい場合はこちらの購入も検討してみよう。ただ、ケーブルだけどATX電源並の価格なので、それなりの覚悟が必要だ。
下記にAmazonリンクを張っておくが、参考価格も掲載しておこう。「HX1000i SHIFT」が41,160円、「HX1200i SHIFT」が51,272円、「HX1500i SHIFT」が58,980円程度だ。それ以上の価格はプレミア価格になっているので別の店舗の価格も確認しておくといいだろう。
なお、側面コネクタによる配線のしやすさだけを求めるのであれば、iCUE LINKシステムハブを省いた「RMx SHIFT」シリーズという選択肢も用意されている。価格も抑えめになっているので、単純に裏配線の快適さを楽しみたい人は、こちらもチェックしてみよう。







