【編集後記】ぷよぷよの公式大会をはじめて現地取材してみて感じたこと——優勝賞金100万円の行方は……

『ぷよぷよ』の年間王者を決める公式大会「GigaCrysta ぷよぷよグランプリ ファイナル」が2月8日(日)に開催され、はじめて現地取材をしてきた。

『ぷよぷよ』の競技シーン自体はリリースなどを通じて目を向けていたんだけど、どうしてもほかのタイトルを優先してしまい、なかなか現地には行けなかったんだよね。

昨年から「あまり現場を見たことのないシーンを見たい」というのを目標にしていたこともあり、『太鼓の達人』に引き続き『ぷよぷよ』の競技シーンも取材できる機会をいただけたのはうれしい。この日は、選挙投票日、『スト6』の大会と丸かぶりな日で、政治には1ミリも興味のない私だが、期日前投票をし、『スト6』は別の編集者におまかせして万全な状態で挑んだ。

▲しかし当日はまさかの雪。しかも若干吹雪いてるしw

現地を取材して思ったのは『ぷよぷよ』ってこんな進化してたんだ……ってところ。出場している選手の思考回路が、もはやCPUレベルという感じで、激アツだったんだよね。「ぷよぷよって連鎖してなんぼでしょ?」みたいな感覚だったのが、その連鎖前に起こっている駆け引きみたいなのもあって、それを一瞬でやりとりしているんだから、やばい。

格ゲーのコンボみたいな同じコマンドを入力すればいいっていうもんじゃない。その場その場の即興な駆け引きがあるのが今の『ぷよぷよ』なんだなーと。「ぷよぷよは初代と通はやってたから、大体わかるか」なんて思って高をくくっていたら、全然わけわかめでした(笑)。

ということで、直前になって昨年の試合を改めて見返したり、とにかく何が起こっているのかをできるだけ理解しようと一夜漬け的な勉強で頭にたたき込んだんだけど、それでも理解が追いつかないところは盛りだくさんだった。

そんな激闘を勝ち抜いたのは、小学生のゆうきくん。ぷよぷよ界隈では知らない人はいないであろう超天才的なプレーヤーで、数々の大会を優勝しまくりんぐの、今年の「日本eスポーツアワード」で2冠を受賞した選手でもあるので、注目度は高い。しかも、ゆうきくんが常に憧れを抱いていた、ともくん選手とのカードが決勝戦で切られるという胸熱ストーリーも相まって、かたずを飲んで見守るファンの姿が印象的だった。

▲国体で優勝するたびに、ともくんの名前を出しているゆうきくん。そんな憧れの選手と年間王者を決める公式大会で戦えるとかどんなストーリーだよとw

しかも準決勝戦で当たったのは前回の年間王者だったdelta選手。接戦になるのかと思いきや、フルボッコ状態で倒してるんだからすごすぎでしょw

▲おそらく取材に来ていたメディアは3社。囲み取材をしたあと、それぞれのメディアが個別にインタビューをしたいということで、21時くらいまで付き合ってくれたゆうきくんに、ゆうきくんのお母さま。感謝でしかない

eスポーツ大会ってこういうのだよな……

eスポーツが盛り上がる中、どんどん規模が大きくなって、大会もでっかい箱が埋まるくらいの超人気コンテンツになってきているさなか、『ぷよぷよ』の会場はどこどなく懐かしさがあった。なんていうかコミュニティーがあったかいんだよね。

会場がセガ本社のイベントホールということもあってなのか、予選の試合を普通に別の選手が観戦していたり、選手と来場者が気さくに話していたり、ぷよ界隈のコミュニティーがひとつになっている感があった。

▲私にとって、ものすごく居心地が良かった。言語化するのが難しいんだけど、ゲームの大会ってこういうことなんだよなーと

もちろん、eスポーツを盛り上げるためにはもっと外側の人々をどれだけ巻き込めるかにかかっている。その成功例ともいえるのが『VALORANT』や『ストリートファイター6』といったタイトル。スポーツで言うなら、野球やサッカーみたいな立ち位置。『ぷよぷよ』は、なんていうか将棋や囲碁みたいなそんな感覚なんだよね。

▲FPSタイトルとは真逆で、モニターとの距離が遠い! 相手の盤面が俯瞰で見えるような最適解なのかな

ルールは簡単だけど、プレーヤーのやっていることは高度。そして万人受けするけど競技シーンに熱狂的なファンが多く集まる界隈というと、そういう段階には来ていない。だがそれがいいみたいな。

それは『太鼓の達人』の大会を取材したときも同じような感覚があって、私はこういったコミュニティーを応援したい。まあ根がオタクなので。パリピな空間より、こういう環境の方が性に合ってるんだよなーっていうと、語弊があって界隈の人に怒られそうだけど……なんとなく通じてほしいこの気持ちw

▲そうそう。海外からも大会に出場していた選手がいたんだよね。ただ、まだまだ日本勢の方がレベルが高いのか、決勝まで勝ち進んだ選手はいなかった
▲快く写真を撮影に応じてくれた海外勢。最初は3人だけだったんだけど……
▲おいおい、お前も来いよというゼスチャーとともにひとり増え……
▲さらに増えるwww

イートインコーナーがあったり、野良対戦台があったり、そして試合の合間合間に長めのインターバルがあったりと、めちゃめちゃ進行がよかったのも、居心地の良さにつながっていた。

そんな、熱量をどうしてもすぐに形にしたく、帰宅後ビックマックを頬張りながら徹夜で記事を仕上げるも、年齢が徹夜に耐えられなくなって次の日ぐったりするという……。おかしいな、徹夜なんて一晩寝れば全回復していたのにな……。

『ぷよぷよ』が分からない人にも読みやすいように記事を作成したので、ぜひ読んでみてください。ゆうきくんのインタビューには、お母さまにもお話をうかがっています!

▲地元のゲーセン仲間に記事を読んでもらってこの反応。やはり驚きが大きい

気になるのは優勝賞金100万円

優勝したゆうきくんは10歳。数々の大会で優勝していることで、成績的にはJESUのプロライセンス取得の条件は満たしているんだけど、年齢制限によりプロにはなれていない。

ジャパン・eスポーツ・プロライセンス
条件:15歳以上、義務教育課程を修了している人が対象

ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス
条件:13歳以上15歳以下で、プロライセンス発行に値する人が対象

つまり10歳のゆうきくんはジュニアライセンスも年齢制限により条件が満たせず、これだけの実力があるのにアマチュア扱いなのだ。まあ、これとは別に「GigaCrysta ぷよぷよグランプリ ファイナル」の大会規定により、中学生以下の選手には、賞金の代わりにセガ特別賞品を授与されるというルールになっているため、賞金はもらえない。

この辺は法律上の問題というより、制度上の線引きによって現金賞金が支払われない構造になっているようだ。中学生以下というのは、ちょうどジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンスの年齢条件と合致する。では、この線引きは競技シーンの発展にとって最適なのだろうか。

私はプロアマ問わず、そして年齢を問わず、優勝したのであれば、本来の賞金をもらうべきだと考えている。というのか、もらう権利が選手にはあると思っている。

実際にゴルフでは小学生でも優勝賞金100万円をもらっている事例もある。

「お金のためじゃない。名誉や自分自身との戦いのための大会だ」なんてきれいな言葉を並べることは簡単だけど、やっぱり、賞金もひとつのやりがいにつながるのではないかなーと。

10歳で世界王者になった才能を、制度はどう扱うのか。年齢による線引きは必要だけど、その制度によって才能の芽を潰しかねないか心配。