【編集後記】eスポーツメディアがこの先生き残るには——2月の振り返り

月一恒例になるといいなの振り返りシリーズ。2月も充実した1カ月を過ごせることができた。まあ、なんといっても個人的には『VALORANT』のシーンが大きかったかなと。VCT Pacific Kickoffは残念ながら日本代表のZETA DIVISIONとDetonatioN FocusMeが敗退によりMasters Madridの道は途絶えてしまったけど、国内リーグはいよいよ今月からメインステージの後半戦。

おかげさまでeSports Worldでは多くのチームのインタビューを実施することができた。ライターのふたりもとてもがんばってくれていて、どんどん原稿の質が上がってきているのはうれしい。私はSCARZのBullcoコーチのインタビューをしました。よかったら見てね。

Xのプロフィール画像がいい写真過ぎたのでBullcoコーチにお願いしてもらった画像を元に作ったサムネイル。インパクト出そうな背景にしてたら楽しくなっちゃった(笑)。「この写真笑顔がステキよねー」って聞いてみたら「実は撮影の時にYoshiiiが笑わせてきて笑っちゃったところを撮られちゃったんです」って(笑)。SCARZのみんな仲よさそうでいいよね。

Café&Bar RAGE STでは『VALORANT』の実況解説の公開生放送をしていて、私も岡安さんとともに現場に取材。池袋の一等地ともいえる場所で、ゲームの大会を見ながら飲み食いできる場所ができたなんて感慨深いよねー。

▲腹ごしらえにRAGE バーガーを頼んで席に帰ろうとしたところ、岡安さんとふたりでバッチリ配信に映ってしまう(笑)

そんなことよりビックリしたのが岸さん。実は岸さんとはEVC(この大会名知ってる人は少ないんじゃないかな)という4年目のオフライン大会でばったりお目にかかった時に名刺交換をさせてもらった以来。1月に開催された日本eスポーツアワードでもお目にかかっていたけれど、それは囲み取材のひとりってこともあって、ちゃんと面と向かってお話しするのは4年ぶり。

「実は私EVCでお名刺交換したことあるんですけど、覚えてます?」って聞いたら「もちろんです」って。

一年にどれだけの多くの人と仕事をしているのかもわからないような売れっ子の人が、いち編集者、いちライターのことを覚えていてくれているなんてさすがよね。

▲公開はまだ先になるけど、結構突っ込んだ内容にも真摯(しんし)に答えてくれました。岸さんyukishiroさん、ありがたし

eスポーツなぜ日本で盛り上がらないのか

いやはや、なんともパワーワードだよね。ふとした時に「やっぱり外様では盛り上がってないのでは」と考えることも出てきてしまう昨今のeスポーツ界隈。

オフライン大会だって盛り上がっているし、ファンミーティングやパブリックビューイングも人気。チームのグッズも売れ行きがよさそうだし、何よりファン層が大きく変わってきている。もうこれeスポーツ盛り上がってるでしょ! と漠然と思うのは簡単。

一方で、その盛り上がりを伝えるeスポーツメディアはどうでしょう。正直、eスポーツメディアと銘打って大きく成長しているメディアはほとんどないのではないかと感じている。あるメディアは閉鎖に追い込まれ、あるメディアは更新しなくなり、あるメディアは赤字覚悟でどうにか運用している——。そんなのを肌で感じる毎日。

大きな情報サイトの一角でeスポーツを取り上げているメディアは母体が大きいから安泰しているけど、eスポーツ専門となると話は違う。結局eスポーツを支えているのは、無償の愛を注ぎ続けることができるYossyさんのような個人サイトのおかげというのが複雑な心境だ。

2022年。ZETA DIVISIONが『VALORANT』で世界3位になった時、テレビでも放送され、女性誌でも特集され、めちゃめちゃ大手のメディアが取り上げていた。eスポーツであれほどの熱狂を感じたのは初めてだったのかも知れない。かつての高橋名人、毛利名人ブームを越えたあの熱狂——。あれから2年、ああいった外様のメディアが注目するような勢いに乗った風は霞むように消えてしまった。

▲an・anの表紙にeスポーツチームの名前が載るなんてすごすぎる。YOSHIKIと並んでるなんて! まるで写真集のような特集ページは必見。crowくんがかわいいので、まだ見てない人はバックナンバーを探すしかないっ!

その後も、翔選手がサウジアラビアで40万ドルを手にしようが、『スト6』のカプコンカップで100万ドルの賞金が出ようが、外様の触手はもうあの頃以上に伸びてこない。eスポーツ界隈からすると、とんでもないニュースだったのに——なぜなのか。

やっぱりeスポーツを専門に扱うメディアの弱さも起因のひとつなんじゃないかとも考える。

私はフリーランスの編集としてeスポーツのメディアに参画しているので、制作費をいただきながら活動をしている身。それを糧に生活している立場の人間からすると、eスポーツライターだけで食べていくのは相当至難だと感じている。

かつて攻略本をがっつり書いていた頃は攻略本バブルみたいなところもあって、1冊書けば2、3カ月は安泰みたいなギャラだったり、単価は安いけど1カ月に2.3冊書いてがっつり稼ぐみたいなことができていたけど、紙媒体ではなくなり、ウェブ媒体になってくると単価も落ちるし、それに伴い記事の質も落ち、悪循環になっていく。そんなフェーズに来ているように感じてならない。

別の業種と比較してもその差は歴然で、群を抜いて単価が低いのがeスポーツ関連。絵に描いたような「好きじゃなきゃやっていけない業種」。eスポーツを外様の人たちに伝える存在であるメディア関係がこんなにも潤っていない業種ってやっぱり盛り上がってないんじゃないの? って思ってしまう今日この頃なのですわ。

結果的にまともなライターが育たない環境になりつつある。もしこれからeスポーツライターを目指す、もしくはやってみたい人は有能な編集の下で働いて、キャリアやノウハウを吸収しまくってほしい。お金が見合わなくてもキャリアっていうのは自信にもつながるし、勝手がわかるだけで仕事も増えると思う。

私は有能な編集ではないかも知れないけど、ライターでもありゲーマーでもあるので、それなりにだけれど、真摯(しんし)に向き合えていると思っています。ライターの人たちに「あいつはクソだ」と思われないようにしなければ(笑)。

でも時代が変われば新しいメディアも出てくるし、キャリアを積んでおけば即戦力になるので、今のうちに手に職をつけておくのもアリだと思う!

ということで、毎月恒例とかいってた振り返りが暗い内容になってしまったのだけれど、私自身は今できることを精いっぱい楽しみながら、新しい仕事にも取り組んでいこうと思っています。メディアへの関わり方は変わっていくかも知れないけど、より多くの人と関わりながら、今を生きていきたい。

ちなみにアイキャッチ画像は昨年開催された『VALORANT』の公式大会Masters TOKYOのワンシーン。すごかったよね。毎日が怒濤のように過ぎていく疾走感があった。eスポーツイベントの中で、おそらく群を抜いてメディアの対応がよかったんじゃないかな。すべてがすごすぎた。

韓国の会場も行きたいなー。