【編集後記】1文字のミスの重み——ウェブライター&編集が気をつけること

Xでとある記事がプチ炎上してた。最初、「やばい記事」みたいなワードが飛び交っていたから、「なんだ、なんだ」と調べてみたら、EVO Japan 2024で開催されていた3rdの大会レポートだった。

誤植からはじまって、キャラ名を間違っていたりと何かとミスがあったみたいで、特に3rdファンから厳しい言葉が飛び交ってた。

なんていうか同業者としては身が引き締まる思いだよね。

ライターのミスは編集の責任

私の中でライターのミスは編集の責任だと思ってる。というか思っていた。編集がライターに仕事を発注して、上がってきた記事を編集がチェック+入稿をして記事を公開するものだしね。

入稿の段階で校正をするだろうし、おかしな部分はライターに確認とったり、編集サイドで修正したりして原稿を完成させるのだから最終的に編集がケツ持つのは当然だと思っている。

とはいえ、ウェブメディアになるとライター側も、原稿を書き上げた時点で一度校閲するというのをかなり意識しないとこういった問題が起こってしまうんじゃないかなぁと最近感じている。

書籍の場合、基本的に重版にでもない限り一度出た本は修正できないので、1文字ミスがあっただけで大問題。そのため、何度も何度も校正するし、多くの人員を割いて校正するなんてザラ。原稿を声に出して読み上げる人がいて、それを聞きながら原稿をチェックするなんてことも。

これだけ厳重にチェックしているのにも関わらず、いざ仕上がった見本誌を見るとぎょっとする誤植が見つかってげんなりすることもあったなぁ……(笑)。

1文字違うだけで、出来上がったものをすべて刷り直して、とんだ出費がかさむなんてことも。

そんな恐ろしいことがないのがウェブの強みで、誤植があったまま公開しちゃってもサクッと直せる。そういった気軽さから、編集サイドが校正をおろそかにしていることもあったり、そもそも人件費が割けない事情なんかで、校正も時短になっていることも少なくないかと。

なので、ライター側もあまり編集の校正を鵜呑みにせず、自分自身でミスがないか最終チェックすることだけは忘れないでほしい。というか私も忘れないようにしたい……。

基本的にウェブメディアは、バズればライターの功績、燃えれば編集の責任という方程式が成り立たず、バズっても炎上してもライターの責任として見られてしまうことが多い。なぜならライターの名前は記事内に公開されているのに、編集の名前が記事内で公開されているのは多くはないから。

私はライターも編集も自分でやっていることが多いので、上がった記事に間違いがあったら、全部自分の責任になるのは恐ろしいと思いながらも、ミスしちゃうんだよね。人間だもの……。

SNSは誰もが正義マン

SNSというかXでは特に正論を振りかざして何かをバッシングするというのが多い。もちろん、ミスした側が悪いんだけど、それでもこれでもかという手厳しい言葉が目に止まる。端から見てると、「まー、言いたいことはわかる」とか「言いたい気持ちもわかる」みたいな感情になるんだけど、いざ自分に降りかかってくると結構へこむのよ、これが。

私が今でも覚えているのが、NORTHEPTIONのAstellとSeoldamにインタビューした時にやらかしたチーム名の誤植。

2021年に開催された『VALORANT』の国際大会で敗者復活戦のLCQが開催された時、日本代表のNORTHEPTIONが奮闘した際、試合直後に選手にインタビューをして、その記事をすぐさま書き上げて、サムネイルを作って、翌朝には公開するみたいな記事を書いていたんだけど、そこでNORTHEPTIONの略称をNthじゃなくてNhtって書いちゃったのね。

それがそのままTwitterにも公開されちゃって、記事はすぐに修正したものの気がついたら後の祭り。「新しいチームできてて草」とか結構たたかれた。心に刻まれたのが「活躍を見守りたいとか最後に書いてあるけど、絶対思ってないだろ」みたいなコメント。たまにフラッシュバックで思い出しても、「大丈夫。今でもNORTHEPTIONは見守っている」と自問自答して言い聞かせている。

いやー、これ第三者だったらなんとも思わないだろうけど、いざ自分に向けられると「グサッ」って突き刺さるんだよね。こういうのを経て、なるべくチーム名はコピペ&辞書登録を意識して、簡単だからといって極力手打ちは割けるようにした。

ベテランライターでもチーム名とか選手名って微妙に間違えていることもあるので、eスポーツ関連の記事を書く人はしっかりリスク回避しておきましょう。DetonatioN FocusMeもDetonation FocusMeになったり、xnfriがXnfriになったり、一見気づかないような誤植も、ファンや本人からしたら「全然違う!」ってことになりかねないので。

▲最近はWordにエディター機能が追加されていて、スペルや表記揺れなんかをチェックしてくれる。入稿前に一度チェックするだけで、いい感じでミスが見つかるのでおすすめ

まあ、何がビックリしたって炎上している記事書いているのがスト2仲間だったことと、大手メディアなのにも関わらず、結構前の記事なのになぜかミスがそのまま残ってしまっているということなんだよね。

かわいそうだから直してあげて……。